Q. 放課後等デイサービスのリトミックで、子どもが途中で離れてしまったり、活動への集中が続かなかったりするときは、どうすればいいのでしょうか?

A. 大切なのは、「集中させること」だけを目標にするのではなく、目の前の子どもの反応を観察しながら活動を切り替えることです。

私が放課後等デイサービスの音楽レッスンで意識しているのは、主に次の3つです。

  1. テンポ・強弱・休止など「音の変化」を使う
  2. 全身を使う活動から、指先を使う活動へ切り替える
  3. オノマトペや子どもから出てきた言葉を音楽にする

一般社団法人国際あそびうた音楽協会 代表理事の五十崎佳子です。

私は現在も、放課後等デイサービスなどで子どもたちと音楽活動を行っています。

実際の現場では、準備してきたプログラムをそのまま進められるとは限りません。

同じ活動でも、その日の体調や環境、興味によって子どもたちの反応は変わります。

だからこそ、

「今、何が起きているんだろう?」

と子どもの様子を見ながら、その場で音や活動を変えていくことを大切にしています。

今回は、実際のレッスンで私がよく使っている「3つの切り替え」をご紹介します。


1.言葉で注意する前に「音の変化」を使ってみる

子どもの意識が活動から離れたとき、

「座ってね」
「こっちを見て」
「聞いてね」

と言葉を重ねるより、音そのものを変えることで反応が変わることがあります。

たとえば、

  • 音楽を「ピタッ」と止める
  • テンポを急にゆっくりにする
  • 大きな音から小さな音に変える
  • 歌声をささやくような声にする
  • あえて少し「間」をつくる

などです。

ずっと同じテンポ、同じ音量で続いていた音楽に変化が起こると、

「あれ?」

と音の変化に気づく子がいます。

ここで大事なのは、

「静かにさせるために音を止める」のではなく、子どもがどんな変化に反応するのかを見ること。

音を止めたらこちらを見る子もいれば、テンポを変えたほうが参加しやすくなる子もいます。

反応は一人ひとり違います。


2.「動」から「静」へ。身体の使い方を変えてみる

元気に身体を動かしている子どもに、突然

「はい、座りましょう」

と切り替えても、難しいことがあります。

そんなとき私は、

大きな身体の動き → 小さな身体の動き

へ、少しずつ活動を変えることがあります。

たとえば、

歌って踊る

手を動かす

指を動かす

キーボードを弾く

という流れです。

実際の放課後デイのレッスンでも、

「あそびうたを歌って踊る」

ところから、

「むすんでひらいて」
「おはなしゆびさん」

などの指を使った活動へ移り、そのあとキーボードを使うことがあります。

「動く活動」と「座る活動」を別々に考えるのではなく、身体の動きの大きさを少しずつ変えていくイメージです。

子どもの様子によっては、反対に静かな活動から身体を大きく動かす活動へ切り替えたほうがよいこともあります。

大切なのは、「この順番が正解」と決めてしまわないことです。


3.オノマトペや「子どもの言葉」を音楽にする

放課後デイのレッスンでは、こちらが用意した歌だけでなく、子どもから突然出てきた言葉が活動の入口になることがあります。

ある日のレッスンでは、子どもから

「鼻すー」

という言葉が出てきました。

そこで、その言葉から「呼吸のうた」へつなげました。

また別の流れでは、子どもたちと一緒にオリジナルの「あいうえおの歌」を作りました。

「あ、あめはパラパラ」
「い、いぬはウーウー」
「う、うまはパカッパカッ」

というように、子どもたちから出てきた言葉や音を、その場でリズムや歌にしていきます。

「ピョンピョン」
「ドスン」
「スーッ」
「パラパラ」
「パカッパカッ」

こうしたオノマトペは、意味を説明しなくても、音の響きやリズムそのものを楽しめます。

そして何より、

自分が言った言葉が音楽になる。

これは、子どもが活動に参加する一つのきっかけになります。

指導者がすべてを用意するのではなく、子どもの発した声や言葉を受け取って、その場で音楽にしていく。

これも、私が大切にしている「あそびうたリトミック」の考え方の一つです。


放課後デイで子どもが活動から離れたとき、まず何を見る?

子どもの行動だけを見て、

「集中力がない」
「飽きてしまった」
「落ち着きがない」

と決めてしまわないようにしています。

たとえば、部屋の端へ移動したときにも、

  • どんな活動をしていたときだった?
  • その直前に何があった?
  • 音量は大きすぎなかった?
  • 活動が長く続いていなかった?
  • 好きな音や言葉はある?
  • テンポを変えたらどうなる?
  • 視覚教材を加えるとどうなる?

など、いろいろな見方ができます。

子どもの様子に合わせた切り替えの例

見えている様子 まず観察してみること 試してみる工夫
活動場所から離れる いつ、何の活動のときに離れたか 音を止める、テンポを変える、活動を変える
別の遊びを始める どのくらい活動が続いていたか、何に興味を示しているか 子どもの興味を歌やリズムに取り入れる
動きが止まる 活動の内容や提示方法がわかりやすかったか まねっこ、手遊び、視覚教材など別の提示を試す
身体を大きく動かしている 動くことで何を楽しんでいるのか 全身活動から少しずつ指先活動へつなげてみる

ここに書いたものも、「この行動ならこの対応」というマニュアルではありません。

やってみる → 反応を見る → 次を考える。

その繰り返しです。


「道具を使わない」ことが目的ではありません

声や身体だけでできる音楽活動はたくさんあります。

一方で、私は必要に応じて、

  • 絵本
  • キーボード
  • カホン
  • 視覚教材
  • タブレット教材

なども使います。

道具を使う・使わないのどちらかではなく、

「今、この子たちが参加しやすくなるためには何があるといいだろう?」

と考えて選ぶことが大切だと思っています。


まとめ|リトミックは「決めたプログラムをやり切ること」ではない

放課後等デイサービスで音楽活動をしていると、予定していたプログラムから思いがけない方向へ進むことがあります。

でも、それは必ずしも「レッスンがうまくいかなかった」ということではありません。

子どもから出てきた一言から歌が生まれたり、予定していなかった活動に発展したりすることもあります。

そのために指導者が持っていたいのは、たくさんの「正解」よりも、

目の前の子どもの反応を観察して、次の一手を考えられる選択肢

なのではないかと思っています。

音を止めてみる。

テンポを変えてみる。

身体の使い方を変えてみる。

子どもの言葉を歌にしてみる。

そして、

「どうなったかな?」と、もう一度子どもを見る。

私はそんなやり取りを大切にしながら、あそびうたリトミックのレッスンを行っています。


よくある質問

Q. 放課後等デイサービスのリトミックでは、決めたプログラム通りに進めたほうがいいですか?

基本のプログラムは準備しますが、子どもの反応を見ながら活動の長さや順番、テンポなどを変えることがあります。

「予定通り終わらせること」より、目の前の子どもがどのように参加しているかを見ることを大切にしています。

Q. 子どもが途中で活動から離れたら、すぐに戻したほうがいいですか?

まず、「なぜ離れたのだろう?」とその前後の様子を観察します。

音量、活動時間、難しさ、興味、周囲の環境など、さまざまな要因が考えられます。

すぐに参加を求めるだけでなく、音や活動を変えたときの反応を見ることも一つの方法です。

Q. 発達障がいのある子どものリトミックには特別な教材が必要ですか?

特別な教材がなければできないわけではありません。

歌、リズム、身体表現、手遊びなどから始めることもできます。

一方で、絵本や視覚教材、楽器などが参加の助けになることもあります。

大切なのは、教材そのものよりも、子どもの反応を見ながら使い方を考えることです。


子どもの反応を見ながら音楽活動を組み立てる力を学びませんか?

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一般社団法人国際あそびうた音楽協会の
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あそびうた、リズム、身体表現、絵本などの音楽活動に加えて、子どもの行動を観察し、「なぜかな?」と考える視点も大切にしています。

「この方法なら必ずうまくいく」という方法を覚えるのではなく、

目の前の子どもを見ながら、自分で活動を組み立てられる先生になること。

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